久しぶりの帰省だったので、母親を連れて祖母のお墓参りに行ってきた。お墓は厚木。電車で行くにはちょっと大変だが、自動車であれば、道が空いていれば実家から1時間半くらいの距離だ。季節外れと言えばそうなのでお墓は空いていて、いつもなら帰りに寄って行くレストランもまだ正月休み中。しかたなく私たちは、帰り道に偶然見つけた厚木市内の小さな定食屋に入って昼食をとることにした。頼んだ料理を待っている間、店内を見渡すと、自由に読める雑誌や漫画が置かれたコーナーがあった。床屋さんでおなじみのゴルゴ13の隣に、少女マンガの王家の紋章があった。確かあれは、ピラミッドや古代エジプトの話だったのではなかっただろうか。
お墓参りの帰りだったから急に思ってしまったのだが、ピラミッドの発掘は、極端に言ってみれば空き巣みたいなもんじゃないだろうか。静かに眠っている高貴な人のお墓を、本人にも家族にも許可なく勝手にこじ開ける。一緒に埋葬されている品を掘り出しては、研究と称して持ちだすのだ。泥棒だ。
祖母が亡くなった時もそうしたが、故人が大切にしていた品や思い入れのあったものを、一緒に焼いたり埋葬したりする。ピラミッドの中にある物もそうした品々だったとしたら、故人が怒っても無理はない。ツタンカーメンのお墓からミイラを取り出した一行に、次々と不幸が訪れたという、ファラオの呪いも、本当に呪いだったのではないか。そしてそれは、当たり前の罰なのではないだろうか。
空き巣は人の家に無断で入り込んで、勝手に金品を持ちだす犯罪だ。現代でも墓荒らしというのはないことはないらしいが、あってもお供え物、お菓子やお酒などを盗んでいくという被害が多いらしい。それだけでも許しがたい泥棒行為だが、お墓の中まで荒らされるよりまだましか。